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【脱毛症について 】
私たちの毛髪は、毛周期とよばれる一定のサイクルを保ちながら“抜けては生える”を繰り返しています。これが、何らかの原因で通常以上に毛髪が抜けてしまう状態が脱毛症です。脱毛症は一つの病気を指す言葉ではなく、いくつかの種類に分類されます。当院では、受診していただいた際に、脱毛の状態を診察後、必要に応じて検査や処置、注射等を行います。具体的な治療内容は脱毛の種類にも寄りますが、保険診療では主に外用療法と内服療法を行っています。まずは保険診療範囲で治療を行っていただき、十分な効果を得られない場合や、より集中的な治療を行いたいという方にはPOTENZAによる育毛治療をおすすめしています。
【円形脱毛症 】
円形脱毛症は何らかのきっかけによって本来、細菌やウイルスなどの病原体から私たちのからだを守るはずの「免疫」が間違って毛をつくる毛包を壊してしまうことで毛が抜ける病気です。このように、免疫機能に異常が生じ、自身の身体の一部を異物とみなして攻撃することを自己免疫疾患といいます。円形脱毛症も自己免疫疾患の一種であると考えられています。
円形脱毛症は、頭髪が丸く抜けることで知られていますが、頭髪だけではなく、眉毛や睫毛、髭や体毛にも生じることがあります。頭部に1か所だけ脱毛が生じた場合には、円く抜けた形になりますが、多発してそれぞれの脱毛斑がつながった場合や、頭部全体、頭部以外の部位の毛髪も抜けた場合には脱毛の形は円形ではなくなります。円形脱毛は、数か月で自然治癒することもありますが、難治性や再発性のものもあります。
円形脱毛症が起こる具体的な原因としては、遺伝的要因やストレスによる免疫システムの崩れ、またホルモンバランスの乱れやアトピー素因などが挙げられます。また、円形脱毛症では、甲状腺疾患や尋常性白斑、膠原病、関節リウマチなどの各種自己免疫疾患と併発する場合があります。そのため、このような自己免疫疾患の合併が疑われる際には血液検査を行うことがあります。
円形脱毛症の治療法としては、一般的に外用療法(ステロイド薬・塩化カルプロニウム)や、内服療法(グリチルリチン・セファランチン)、ステロイドの局所注射や、局所免疫療法や紫外線療法等があります。また、必要に応じてステロイドの内服や精神安定薬などを用いることもあります。当院では、主に保険診療による外用療法と内服療法を行っており、改善が乏しい場合はステロイドの局所注射を行っています。
【男性脱毛症】
男性脱毛症とは、日本人男性の約30%に生じる非常に一般的な脱毛症です。
別名AGA(Androgenetic alopecia)とも呼ばれ、前頭部や頭頂部を中心に遺伝に起因して発症するとされています。思春期以降、特に20代後半から30代にかけて頭髪の軟毛化が発生し、徐々に進行することで40代以後に完成します。治療として、当院ではデュタステリドとフィナステリドいう内服薬を自費で販売しております。
デュタステリドは1型および2型、フィナステリドは2型の5α還元酵素(男性ホルモンの一種「テストステロン」と結合することによって、男性ホルモンの一種であるDHTに変換する酵素)の働きを抑えることにより、髪の成長を遅らせ髪の毛を細くしたり抜けさせたりする原因となるDHT自体の量を減らし、最終的に髪の毛を増やしたり太くしたりするというものになります。
【頭部白癬 】
頭部白癬は被髪頭部への白癬菌の感染で、菌は角質層や毛に寄生します。症状としては、脱毛斑や黒点が生じ、容易に髪の毛が抜けることが特徴的です。原因菌の多くは、イヌやネコなどのペットからの感染や、格闘技等のスポーツ活動による感染などがあげられます。治療法としては、抗真菌薬(テルビナフィン塩酸塩・イトラコナゾール)の内服が一般的です。外用薬は病変を刺激して悪化してしまう恐れがあるため、通常は使わないことがほとんどです。特にステロイド外用薬を使用してしまうとケルスス禿瘡(とくそう)に移行してしまうことがあるため、自己判断で外用薬を使用するには注意が必要です。ケルスス禿瘡とは被髪頭部に膿疱やかさぶたが生じ、進行するとしこりを形成します。しこりを圧迫すると毛孔から膿が排出し、軽度の痛みがあります。また、その部位は容易に抜毛され、脱毛局面となります。ケルスス禿瘡は頭部白癬と同様に抗真菌薬の内服で完治しますが、治療後に瘢痕が残ることがあります。そのため、悪化する前に正しい治療を早期に開始することがとても大切になります。気になる症状が少しでもみられた場合は早めに皮膚科に受診することをおすすめします。
初診
イトリゾール内服
2週目
イトリゾール内服
6週目
イトリゾール内服
8週終了
【休止期脱毛症】
休止期とは、毛髪の毛の生え変わりのサイクルの中で、髪の毛が成長しない期間のことを指します。休止期脱毛症は、髪の成長サイクルが乱れて休止期の毛髪が異常に増えるために起こる脱毛です。妊娠・分娩・持続的高熱・手術・薬の服用などをきっかけに、その2~4か月後に起こります。ストレスを避けたり、バランスのとれた食事を心がけたりすることで、改善されることがあります。
【機械的脱毛症】
帽子や枕による圧迫が続いたり、髪が擦れたり引っ張られたりする機械的刺激によって起こる脱毛です。赤ちゃんの頭が枕に擦れて起こることもあります。多くは原因がなくなれば、自然に回復します。
【抜毛症】
自分で毛髪を引き抜いてしまうために起こる症状です。前頭や側頭に多く、後頭ではあまり起こりません。無意識に行っていることもあります。学童期に多く、家庭や学校での精神的ストレスを背景にしていることも多いです。その場合は、精神科や心療内科に相談することも検討されます。
【瘢痕性脱毛症】
毛の生産に携わる毛包が破壊されて、傷跡から毛が生えなくなる症状です。自己免疫によって毛包が攻撃される原発性と、外傷・熱傷・皮膚がんによって起こる続発性があります。原発性瘢痕性脱毛症は毛包の炎症が広がって脱毛部位が広範囲になる可能性もあるため、早期段階から炎症を抑えるためのステロイドの注射や飲み薬を用いた薬物療法が行われます。続発性瘢痕性脱毛症の場合は、原因となっている病気やけがなどの治療を行うことが大切です。
脱毛症が生じる原因はさまざまであり、治療方法も種類により異なります。一人ひとりにあった治療を行うためにも、抜け毛が増えたと感じた場合や、脱毛の範囲の広がり、何度も再発するなどの症状がみられた場合は、一人で悩まずに早めに皮膚科に受診しましょう。