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【多汗症について】
私たちは日常的に汗をかきます。汗は体温調節をはじめとし、私たちの身体にとって重要な役割を担っています。しかし、気温や運動時などに関係なく、たくさん汗が出てしまい、日常生活に支障をきたすものを「多汗症」といいます。多汗症には、明らかな原因がない“原発性多汗症”と、ほかの病気や薬の副作用などの原因による“続発性多汗症”に分けられます。また、身体の(脇の下、手のひら、頭、顔、足の裏)など特定の部位で多くの汗が出ることを“局所多汗症”、部位に関わらず全身に多くの汗が出ることを“全身性多汗症”として分類することもできます。
【汗をかくしくみ】
汗をかくしくみとしては、脳の視床下部から汗を出す指令が、皮膚の下(真皮)にある交感神経に伝えられ、交感神経からアセチルコリンという発汗を促す物質が分泌されます。そのアセチルコリンが汗腺にある受容体に結合することで発汗が起こります。局所多汗症では、この視床下部からの汗を出す指令が過剰になっているため、たくさんの汗をかくと考えられています。
ここでは、原発性の脇の下の多汗症(原発性腋窩多汗症)と、原発性の手のひらの多汗症(原発性手掌多汗症)にフォーカスしてお話していきます。
【診断基準】
手や脇の多汗症の診断基準として、多汗症状が6か月以上続き、以下の6症状のうち2つ以上が当てはまる場合に「原発性腋窩多汗症」もしくは「手掌多汗症」と診断されます。
○最初に症状が出るのが25歳以下であること
○左右両方で同じように発汗がみられること
○睡眠中は発汗が止まっていること
○1週間に1回以上多汗の症状がでること
○家族にも同じ疾患の患者さんがいること
○手掌・脇汗によって日常生活に支障をきたすこと
【治療方法】
局所多汗症の治療方法にはいくつか種類があり、主に塗り薬や注射薬、内服や手術などの方法があります。これらの治療法は、症状を和らげたりなくしたりする対症療法なので、多汗症自体を治すものではありません。多汗症の塗り薬や内服薬、注射薬に含まれる成分として共通しているのは、発汗を促す物質(アセチルコリン)をブロックする作用があることです。
当院でも、保険治療による塗り薬や内服薬を使った治療と、自費治療によるボツリヌス毒素局注療法(ボトックス注射)を行っています。塗り薬や内服薬は、数週間~数カ月間治療を継続する必要がありますが、ボトックス注射は数日~数週間で効果がみられるため、より早く症状を抑えたいという方にはボトックスの治療をお勧めしています。しかし、ボトックス治療は効果が早く強い分、他の部位での発汗が強く出ることがあります。これを代償性発汗と呼びます。
【日常生活で気を付けたいこと】
多汗の症状を少しでも抑えるためには日常生活から注意していくことも大切です。食事は、からいもの、酸味の強いもの、カフェインをとりすぎないように注意し、できるだけバランスの良い食事を心がけましょう。
また、飲酒や喫煙を控えること、睡眠を十分にとることも大切です。当院では、患者様の希望に沿った治療ができるよう心がけています。多汗の症状でお悩みの方、相談したい方は気軽にご相談ください。